どこかで既に書いた話のリライト
ノスタルジーは世代が変わると歴史になる。
http://www.sankei.com/entertainments/news/150612/ent1506120011-n1.html
本当かよ?って感じではあるが、これそのものがプロパガンダだからそこは置いといて。
- アーティスト: ドリフターズ
- 出版社/メーカー: EMIミュージックジャパン
- 発売日: 2008/10/22
- メディア: CD
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この件と絡めて書く。
戦後日本の芸能界など先進的な人たちの間で流行したのは当たり前かもしれないが、ジャズなどの西洋音楽である。敗戦後、軍歌などの日本的(実は違うが、そう思われていた)音楽は、忌避されるべきものであった。とはいえ、軍歌は歌詞を除いた様式だけを見れば当時の流行歌と同様であり、その旋律及びリズム自体は、日本人の第二次世界大戦前の音楽様式そのものであったため、地方を中心にその音楽自体は脈々と残り続けていた。テレビがハイカルチャーのものから大衆のものになった1960年代後半には、「戦後」でもなくなり、軍歌が許容される土壌は整ってきたのでは、と考えている。そのころクレイジーキャッツからテレビの主役へと移り変わったドリフターズは、ジャズをベースとしたセンスのいいクレイジーとは異なり、やや泥臭いイメージで売っており、それが軍歌のある種の泥臭さとマッチしたことで、カバー曲が売れたのであろう。
これは、戦後20年以上が過ぎ、戦争の時代がノスタルジーになったこととイコールであると考えられる。第一、見事に誤解されているが、流行歌の分野では、軍歌のカバーはそんなに珍しいことではない。そのことがわからなくなったのは、1980年代あたりになると、戦争を経験した世代が歌い手含めて流行歌を生み出す年齢ではなくなったことである。で、そこから30年経ってすべて忘れ去られてしまっただけであり、要するに歴史を知らないだけなのである。もうちょっと勉強して来いと言いたい。
現在の軍歌はノスタルジーでも何でもなく、云わば幕末や戦国趣味と同様である。なので、文化土壌が変わったというべきであるが、さすがに幕末や戦国では、当時の流行歌(というものですらなく、民謡の前段階とも言うべきものであるが)の音源が存在しないので、それに比べるとこういう形で盛り上がりやすいのであろう。