ナウシカ歌舞伎を観に行った

ナウシカである。まさかの歌舞伎である。
ずっと気になってたので、どうにかして予約しました。
f:id:fake-jizo:20200113193842j:plain
歌舞伎公演は大体そうなのだが、昼の部と夜の部がある。ただ、このナウシカは通し狂言と言って、一日丸々同じ演目を最初から最後まで演じる。
これは今ではとても珍しく、通し狂言と言っても、普通は昼の部のみとか大体半日くらいなのだが、これはそうじゃない。
歌舞伎で有名な演目は江戸〜明治くらいに作られたもので、元々の演目はこのナウシカと同じように、一日丸々だったりするのだがそんなのを観たことは私もほとんどない。
これには理由があって、まあ要するに現代人にはあまりに長すぎて、観てる方もうんざりしちゃうのと、何度もやってるとみんな話の筋なんて見なくてもわかってしまう、というわけで冗長な数幕を削ってしまうのである。それが更に進んで、例えば歌舞伎座とかでは、長ーい演目の有名な一幕だけ細切れにして三幕くらいの実施、というのが割とメジャーである。
話の筋はどうでもいいというか、色々と割り切った公演方式である。現代劇では考えにくいね。ストーリーもわからない演劇って何?って話になるし。
とはいえ、もはや現代では歌舞伎の前提条件が全然わからないわけで、ガイドがないと何が何やらという人が大半であろう。だから敷居が高いって話になるんだろうね。曽我物と言われても普通わからないでしょ、とは私も思うけど、これを知らないとお芝居の内容が全くわからなくなったりするのである。
また、現代の公演形式でも長いってのはあるかもしれない。集中力的に映画の2時間くらいが限界なんじゃなかろうか。
www.ntj.jac.go.jp
国立劇場だと伝統芸能振興が目的なので、通し狂言を頻繁に上演しているが、それでも半日とかそんなんだね。
因みに国立劇場は比較的やすくてオススメなのだが、演目とか出演者が初心者向けとはとてもいえないよなあ。
まあしょうがないかもだが。
f:id:fake-jizo:20200113195328j:plain
で、やっと本題。
ナウシカ公演はこのように11時開演20時半閉演と、幕間はあるにしても本当に長丁場で私の集中力がとても持たない。
なので、比較的映画で知っているはずの昼の部を観に行った。
本当は昼の部が良かったら、夜の部を観ようと思っていたのだが、そんな私の浅はかな思いを見破ったかのように当然のことながら12月に入る頃には全て完売である。
公演そのものは当然のように写真撮影禁止なので、どこかのニュースを引用しようかと思ったが…、それも面白くないので、個人的に思った話を。
https://www.instagram.com/p/B6GTCQpnGif/
ナウシカ
まず、セットが豪華である。
いや、この1回で終わらないでしょこれと思ったくらいに豪華である。この幕も専用に作ったそうだ。一体どんだけ金かけたんだ。
また王蟲巨神兵などの舞台装置は誰がどう考えても他の演目に転用が利かない品である。
そんなものをこの1ヶ月のためだけに作ったのである。
それだけで凄いと思った。

またオープニングは透明の幕にタイトルバックが写っていて、アニメ映画を凄く意識しているなと思った。
ただ、その後は、見栄の箇所を切り取って上演という、とても歌舞伎らしいスタイルである。カッコ良ければ後はなんでもいいのである。歌舞伎ってそんなもの、なので、そんなに気構えなくてもいいかなあ、とも思うのだが、世話物とかだとそうもいかないので、ふらっと見るものでもないのかも、第一高いし。
残念だったのは菊之助が怪我をしたせいで、私の観たときは一部の演出が変更になっていたことである。特に宙乗りは観たかったなあ。
大体の台詞は、当然のように現代語で、時々見栄を切るときだけ時代がかるというなんだか不思議な感覚である。
というわけで、普段の歌舞伎では必須のイヤホンガイドもなんだか必要がないというか、特出すべきは歌舞伎ならではの演出の説明くらいで、ナウシカの説明されてもな、という感じではあった。なくても大丈夫だったかもしれない。

後気になったこととしては、大向こうから声がかからない。精々拍手くらいである。これは新作なので、どこで合いの手を入れればいいのかわからないから、だろうと思われるが、そもそも人気が高すぎて安い席でもチケットが取れないという問題もあったかもしれない。
www.kabuki-bito.jp
こういうディレイビューイングもあるらしいが、夜の部観るかなあ。なんか観ない気もするな。家では絶対見ないので、映画館の方がまだ観る気はするけれど。
そういえば、昼の部は大体原作の4巻あたりまでなので、1巻というか映画のハイライトである、王蟲の子供を救う話は途中に出てくるのだが、あの曲が、歌舞伎の節回しで演奏されると、ちょっと笑っちゃうよね。あれはなかなか聴けないよ。