高度化の行き着く果てに。

最近の私の仕事は、大まかにいうと、開発業務の自動化なのだが、具体的にいうと、このような感じである。

これによって何が起きたかというと、↓である。

  • 少人数で開発することが出来るようになった。
  • ワンセット整備することにより、他にも使い回せるようになるので、ある程度誰でもクラウドが構築できるようになった。
  • 車輪の再発明を極力防ぐので、絶対的なコード量が減った。

で、いいことばかりのようにも見えるけど、そうじゃない。
単純に、初心者が全く入っていけなくなってしまい、手動テストをやるような仕事がなくなってしまった。またライブラリ管理者の仕事がなくなり、その分の費用を計上する必要がなくなった。これは発注側にとってはとても望むことなのだが、受注側にしてみると必ずしも良いことばかりではなかった。

初心者が入って来れないということは、もっと高度なことをやっている我々のところが出来るわけもなく、人を育てるのが極端に難しくなっているのである。普通は、車輪の再発明のようなプログラムを書いたりレビューしたりすることや、手動でリリースしたりして覚える分もあると思うのだが、初っ端からそんなものが揃っている前提だと、もはや黒魔術みたいなもので、中身をしろうとすら思わない人が続出したのである。
ある程度長い目で育成しようとしても、本人がとてもついて来れなくて離脱というのを何度か繰り返し、どうしよう、と思っているのが、イマココなのである。

これは元が文系理系とか関係なく、物事にはStepが必要なのであるが、そのStepがなくなって急にフリークライミングみたいになってしまい、本人から見たら、崖を下から見上げながら途方に暮れている状態なのである。
もちろん、このような省力化はとても需要があって、崖の上では仕事が多すぎて困っているような状況なのであるが、崖を取り巻く周りの殆どはどうすることもできずに仕事がなくて困っている、とまあそんな状態なのである。これはいろんなところで起きていて、今コロナ禍で仕事がなくなった、というのはこういうのも背景にあるんだろうなあ、とうっすら思っている。
教えればいいでしょ、というのは簡単なのかもしれないが、実際にはかなり難しく、普通のAP開発者が今まで考えたこともないような概念からスタートするので、その時点で既に躓いてしまうのである。チュートリアルとか作ってもいいけど、チュートリアルと実務の壁が果てしなく高い。