共通システム化の誤謬

最近全然お出かけしてないので、あまり書く話がなかった。ちょっと前に出かけた時の話を書いてもいいんだけど。

政府が中央省庁の情報システムを統合するため昨年10月開始した「共通プラットフォーム」の運用を打ち切ることが判明。年間予算約100億円を見込んだ事業は開始から1年持たずに頓挫。政府共通システムはデジタル庁で一から作り直すことに。

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システムの共通化、って響きはいいんだけど、実際にはそうそううまく行かないよね。

日本政府はこのほど、Amazon Web ServicesAWS)を基盤とするITインフラ上に、各省庁が個別に運用してきたシステムを集約した「第二期政府共通プラットフォーム」の利用を始めた。今後は府省を横断した運用によって、コスト削減や業務効率化が可能になるという。

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元々はこの話で、政府システムにもAWS採用しました、って話だよね。
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ただ、アメリカだと政府専用のDC?持ってるんだよね。セキュリティとかの要件を満たすのに特注品じゃないとうまく行かなかったみたいだが、そこから比べると日本のは他と共用のDCだと思うので、一段落ちると言うかなんというか。

2019年10月8日、読売新聞は総務省が開発費約18億円をかけ政府共通プラットフォーム上に導入したセキュリティ機能が各省庁から一度も使用されずに廃止されたと朝刊一面で報じました。ここでは関連する情報をまとめます。

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というか、一つ前の共通プラットフォームも結局全く使われずに潰していることを考えると、これは構造的な問題なんじゃないかと思うなー。セキュリティと利便性はトレードオフの関係にあるので、どこかで妥協点を探らなければ、こう言う使えないシステムが出来あがっちゃうんだけど、セキュリティをしっかりしないと、と言う圧力というか思い込みはとても強いんだよね。これは大企業でもそう。セキュリティが最優先という。
また、「共通システム」というときに、セキュリティの強度は一番高いところに合わせなければならないんだよね。弱いところから突破されちゃうから。でもそれってもはや鍵がついた一部の部屋からしかアクセスできないくらいのセキュリティを前提に置いちゃう場合が高いので、なかなかクラウドと相性悪いよね。ここ性善説で行くわけにいかないし。テレワーク何それ美味しいの?っていう人たちもまだまだ多そうだしなー。
このままだと何度作り直しても同じ問題にぶち当たるからあんまり意味ない気がするんだけど。
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第二次の時のAWSの資料読むと、なんか箱の話だけをしてるんだよね。中身の話が全くないというか、まあ書けない部分も多いんだろうけど。普通AWSの話はこういうソリューションを使って効率化を、とかコスト削減を、とかそういった話が多いんだけど、そういうのが全くない契約とか外形的な話に終始してて、これはこれで異常。実はこういうパターン見たことだけはあって、これクラウドにリフトすることが目的になってクラウドで何をするかを考えていない、目的と手段が逆転したりすると起きやすい。
クラウドリフト&シフトの概念はエンタープライズでよく見かけるけど、クラウドリフトしたところで止まってるのはよく見る。それだとあんまり意味ないんだけど、オンプレからクラウドに移行することそのものが目的になって予算確保したりすると、その先の展望まで考えられなくて、中途半端な状態で終わってしまいがち。
アメリカだとオンプレ回帰に始まって、ハイブリットクラウドに移行しつつあるけど、何だか日本では周回遅れの議論をやってる気がするなあ。VMwareとかもそういう製品出してるし、AWSもOutposts出してるし、次の主戦場はここに移りつつあるけど。
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